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DAIWA CYCLE

<第11回>ロードバイクの選び方~ フレーム素材編 その7 ~

今回でロードバイクの素材編については終了になります。 まさか7回にもわたって書くことになるとは思っていませんでした。長かった…。笑 さて、今回はカーボンがロードバイクの主流素材になったことでロードバイクの製造にどのような影響を与えたのか、ということについて書こうと思います。 これが選び方にどう影響するんや!って事なんですが、自分の大事な自転車がどこで作られたものなのかって…結構、気になりますよね。 ですので、生産国表示を見るときに知っておくと良いと思います。 普段もそうなのですが、今回の内容は特に金子の個人的な意見(あるいは思い込み!?)が多くありますのでご注意ください。

カーボンによる自転車製造への影響

ロードバイクの素材は大まかに言えばクロモリ→アルミ→カーボンに変化していきました。
この金属から非金属への変化は製造方法が極めて大きく変化しています。

金属の場合はパイプを買ってきてそれらを溶接するという形で作っていくわけですが、
前回ご説明したようにカーボンはカーボンシートを貼って金型で焼いて作ります。

極端な話、金属素材(特にクロモリ)の場合は職人が腕一本で作成出来るんですが、
カーボンは基本的には出来ません。(全くできないわけではないですが、メジャーではありません)

前回のコラムでもご紹介しましたが、カーボンバイクを作るにはカーボンプリプレグを製造あるいは保管する設備(プリプレグは冷蔵・冷凍する必要があり、すぐに使わなければなりません)、カーボンバイクの金型、それを加熱できる設備…などなど、大掛かりな初期投資が必要になります。

カーボンによる自転車製造への影響

 

カーボンによる自転車製造への影響

 

カーボンによる自転車製造への影響

それに、新しいモデルを作る時には毎回金型を作成せねばならず、新商品を発売する数年おきに大きな投資が必要になります。

ですので、金属バイクを作っていたメーカーがカーボンバイクを作れるようになるには大きな投資と長い時間が必要となりますし、
出来たとしても価格が高くて販売に繋がらない可能性が高くなります。

ということもあって、多くのメーカーはカーボンバイクを作る際には自前で製造設備を作らず、
設備を持っている他社に任せるようになっています(OEM)。

今では、自社製品全てのカーボンバイクを自前で作っているロードバイクブランドはほとんどなく…
自社で製造しているとしてもハイエンドモデルだけ、というメーカーが殆どです。

OEM

ちなみに、OEMメーカーは何故か台湾に多いんですね。

ダイワサイクルでも取り扱っているGIANTやMeridaは元々は欧米ブランドのロードバイクの製造を受け持っていたのですが、
OEMとしての仕事をしているうちにロードバイクの設計ノウハウを蓄積し、マーケティング力をつけて、
自前で製造を行っているという強みを背景に低コストで品質の良い製品を販売することでのし上がっていきました。

このような背景がありますので、やっぱりロードバイクはイタリアンブランドじゃないと!と思って買ってみたものの、
中身は実は台湾・中国製…という事は数多く(というか、大半がそう)あります。

ただ、自社製造ではないから品質が低い、というわけではありません。
台湾のOEMメーカーの実力は高く、世界でもトップクラスだと言われていますので安心です。

もちろん、同じOEM先であれば同じ性能なのかというと決してそういうわけでもありません。
バイクのサイズに応じた剛性のコントロール、フレームの外形によって空力性能など、
設計によって性能は大きく変化しますし、特定のメーカーしか使用できない炭素繊維というのもあると言われています。

真面目にデザインや設計を自前でイチからやっていて、製造だけを外注するようなメーカーであれば、
同じ製造場所であったとしても性能は異なるものになります。

ですが、中には設計すらOEMメーカーに依頼するというパターンもあるのではないか、というウワサもあります。

要は、OEMメーカーが作ったカーボンフレームに自社ロゴを塗装して販売するという事ですね。
ただ、近年はOEMメーカーがユーザーに直接販売をする事があるので、数年前には「あれ、この形って○○のバイクと同じじゃない!?」という事にユーザーが気付き、同じものが安く買えるぞ!ということで話題になった事もありました。苦笑

それが事実なのかはわかりません。

ただ、近年はGIANTやMerida以外にも続々と続々とOEMメーカーが独自のブランドを立てて市場に参入している現状を考えると、
高い設計力や品質管理能力を身に付けてきているという事を感じさせます。

OEM先が限られていて製造技術での差別化が難しくなっている現状を考えると、
歴史のあるブランドも優れた商品開発能力を持っていないと、これから生き残っていくのは難しくなっていくのかもしれません。

最後に

それはさておき。

先ほど、カーボンバイクのOEM先として台湾が多いという話をしました。が、場合によってはその台湾メーカーがコストダウンの為に工場を中国に作っているという事もあるようです。ということで、台湾製のロードバイクは品質が良いとする考え方もあるようです。

Feltのハイエンドモデル(2012年当時、トッププロも乗っていました)のF1も

最後に

台湾製ですので、ロードバイクの生産国を見た時、Made in Taiwanと記載があっても決して「安かろう悪かろう」というわけではありませんのでガッカリしないでくださいね。

むしろ、ご安心を!

さて、今回で長かったカーボンバイク編も終了になります。
長いお付き合いをどうもありがとうございました。

次はロードバイクのフレームサイズについて書こうと思いますので、お楽しみに!!

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