
自転車のパンクは突然起こることが多いトラブルですが、正しい知識があれば落ち着いて対応できます。
タイヤの空気が抜けていて、パンクではないか?と思われるケースでも、実際にはパンク以外が原因の場合もあり、状況を見ながら適切な対処が重要になります。
当記事では「自分で直すべきか、プロである自転車専門店に依頼するべきか」の判断ポイントも踏まえて、自分でできる修理について詳しく解説します。
タイヤの空気がぬけてしまう原因と対処方法

1. パンクでないケース(タイヤやチューブ自体に問題がない)
タイヤやチューブに外傷がなくても、空気は徐々に抜けていきます。空気抜けの原因を知れば、日々のメンテナンスでトラブルを防ぐことができます。
● 代表的な症状
- 【単なる空気の抜け】
- 症 状:徐々に空気が減る。数週間でブヨブヨになる。
- 原 因:空気入れ口のバルブから少しずつ空気が漏れているためで、自然な現象です。
- 対 処:空気入れで適正な空気圧まで補充する。
注意点:月に一度は 空気補充をするのが望ましいです。 - 予防方法:定期的な空気入れを習慣にしましょう。
- 【虫ゴムの劣化】
- 症 状:空気を入れてもすぐに抜けてしまう。空気 入れの際に「シュー」と いう音が聞こえる。
- 原 因:バルブ内部にある虫ゴム(英式バルブに使用)が経年劣化してひび割れや、緩みにより空気を保持できなくなっている。
- 対 処:虫ゴム(または新しいバルブセット)を交換する。交換は比較的簡単で、ホームセンターや自転車専門店で部品が入手できます。
- 予防方法:虫ゴムは消耗品です。半年に一度程度の定期的な交換が推奨されます。
- 【リムナットの緩み】
- 症 状:急な空気の抜けで はないが、虫ゴムを交換しても空気がすぐに抜けてしまう。
- 原 因:タイヤの内周部にある「リム」の空気入れの根本部分を固定するナット(リムナット)が緩んでいると、隙間から空気が漏れることがあります。
- 対 処:リムナットをしっかり締める。
注意点:締めすぎるとバルブを破損させる可能性があるため、適度な力で締めるようにしましょう。 - 予防方法:メンテナンス後に、リムナットが適切に締まっているか確認しましょう。
2. パンクのケース(タイヤやチューブ自体に問題があり修理が必要)
「パンク」とは、基本的にチューブに穴が空き、空気の保持ができなくなった状態を指します。 原因によって穴の大きさや場所が異なり、対処法も変わってきます。
● 代表的な症状
- 【刺さりキズ】
- 症 状:タイヤに小さな穴が見られ急激に空気が抜ける。
- 原 因:路面に落ちている鋭 利な異物がタイヤを貫通し、内部のチューブにまで達して穴を空けている。
- 対 処:穴を塞ぐパッチ修理が必要。
注意点:タイヤの傷みが小さい場合は自分で修理可能ですが、大きい場合は、念のため専門店への依頼を推奨します。 - 予防方法:適正な空気圧を保持することで異物が刺さりにくくなります。また、異物の多い場所を避けて走行しましょう。
- 【タイヤ劣化】
- 症 状:複数の箇所から空気が漏れている。タイヤ側面にひび割れが目立つ。
- 原 因:タイヤの寿命からゴムが硬化し、ひび割れや摩耗が進んだ結果チューブを保護する力が弱まり、小さな負荷でもパンクしやすい状態になっている。
- 対 処:タイヤとチューブの両方を交換する必要があります。
注意点:専門店への依頼を推奨します。劣化したままの走行は危険です。 - 予防方法:長期間乗らない場合でも、空気入れは行いましょう。直射日光の当たらない場所での保管も、タイヤの寿命を延ばします。
- 【リム打ち(スネークバイト)】
- 症 状:急な段差を乗り越えた直後に空気が抜 ける。チューブに2つ穴が並行に開いていることが多い。蛇が噛んだような跡が付く。傷跡の形状から「スネークバイト」とも呼ばれます。
- 原 因:空気圧が低い状態で縁石や段差に強く乗り上げた際、リムと地面の間にチューブが挟まれ、穴が開く。
- 対 処:穴を塞ぐパッチ修理が必要ですが、多くの場合、チューブの交換が必要になります。
注意点:専門店への依頼を推奨します。リム自体に歪みがないか確認が必要です。 - 予防方法:適正な空気圧を保つことが基本です。段差を避けるか、ゆっくりと乗り越えましょう。
空気が抜けていて乗れない場合、まずは一度空気を入れて様子を見てみましょう。すぐに空気が抜けてしまう場合は何らかのトラブルである可能性が高いので、原因を調べましょう。もし、原因がわからない場合、あるいは原因を調べるスキルに不安がある場合は自転車専門店に原因調査から依頼するのが良いでしょう。
「パンクでないケース」「パンクのケース」いずれにおいても、「タイヤの空気圧不足」が原因によることが多いです。トラブルを未然に防ぐためにも、定期的にタイヤへの空気入れを習慣づけることが大切です。
パンク修理を自分で行うべきか専門店(プロ)に依頼するべきか

空気が抜ける原因がパンクだと判明したら、次は自分で修理するか、プロである専門店に任せるかを判断します。
費用や時間、安全性を総合的に考慮して判断しましょう。基本的に、自分で行う自転車のパンク修理は、穴を塞ぐ「パッチ修理」が主となりますが、修理後の安全な走行を確保するためにも、自分のスキルやパンクの状態に応じて判断することが大切です。
● パンクの原因
- 【刺さりキズ】
- 自分で修理:可能。ただし穴が小さく、タイヤの痛みが小さい場合。
- 専門店への修理依頼:推奨。タイヤの痛みが大きい場合(亀裂や裂けが確認できた場合等)
- 理由と注意点
小さいキズ:チューブのパッチ修理のみで済み、比較的簡単に対応できます。
大きなキズ:タイヤ交換が必要なケースが多く、走行中のバーストなどの大きなリスクを避けるため、専門店での対応が安心です。
- 【タイヤ劣化】
- 自分で修理:推奨しない。ただし技術的に自信のある場合は除く。
- 専門店への修理依頼:推奨。
- 理由と注意点
劣化はタイヤとチューブの両方交換が必要です。走行中にタイヤが破裂する危険性もあり、専門的な技術と判断が安心です。
- 【リム打ち(スネークバイト)】
- 自分で修理:推奨しない。ただし技術的に自信のある場合は除く。
- 専門店への修理依頼:推奨。
- 理由と注意点
リム打ちの原因は空気圧不足であり、チューブだけでなく、ホイールのリム自体が歪んでいる可能性があります。目に見えない異常の確認も含めて専門的な技術と判断が安心です。
自分で行う修理が現実的なのは、あくまで「チューブの穴が小さくタイヤの傷みが軽微」な場合に限られます。
また前輪に比べて後輪は、ギアやブレーキなど複雑な機構が絡むため車輪の脱着は、軽微なパンク修理であっても、工程によって難易度が高くなります。
少しでも不安がある場合や、タイヤ・ホイールに異常が見られる場合は、迷わずお近くの自転車専門店にご相談することをおすすめします。
プロの目で点検することで、自分では気がつかない異常が見つかるケースもあり、安心して自転車をご利用いただけます。
自分でできるパッチ修理(道具・手順・注意点)

「刺さりキズ」でタイヤの傷みが小さい場合、パンク修理キットがあれば自分で修理に挑戦できます。
ここでは、自分で修理する際の基本的な流れをご紹介します。
必要な道具
パンク修理キットとして一つにまとまっているものが便利です。
- タイヤレバー:タイヤをホイールから外すためのヘラ状の工具です。
- パッチ:チューブの穴を塞ぐためのゴム片です。
- 紙やすり(サンドペーパー):チューブの表面を荒らし、ゴムのりの接着を良くするために使います。
- ゴムのり:パッチをチューブに接着するための糊です。
- 空気入れ:修理後に空気を補充します。
- 水が入ったバケツ:穴の場所を特定するために使います。
- その他作業手袋・汚れてよいタオルなど
修理の主な流れ
1. タイヤとチューブを外す
車体から車輪を外し、タイヤレバーを使ってタイヤとチューブをホイールから取り出します。

2. パンク箇所を特定
チューブに少しだけ空気を入れて、水につけて気泡が出る場所を探します。気泡が出た場所がパンク箇所です。

3. 異物の除去
必ずタイヤの内側を触って、パンクの原因となった釘やガラス片などの異物が残っていないか確認し、あれば取り除きます。異物が残っていると、すぐに再パンクしてしまいます。

4. 下準備
パンク箇所の周辺を紙やすりで軽くこすり、汚れや油分を落とし、接着しやすいように表面を整えます。表面を整えたらゴムのりを塗布し、乾くのを待ちます。

5. パッチを貼る
ゴムのりが乾いたらパンク箇所よりも一回り大きなパッチを選び、しっかりと押し当てて接着します。

6. 組み付け
パッチが完全に接着したら、チューブをタイヤの中に戻し、ホイールに組み付けます。この時、チューブを噛み込まないように注意しながらタイヤレバーを使います。チューブを噛み込んでしまう事で穴が開いてしまう場合がありますので、注意しましょう。

7. 空気入れ
規定の空気圧まで空気を入れ、修理完了です。

注意点
異物除去を徹底すること:パッチ修理をしても、タイヤの中に異物が残っていればすぐに再パンクします。 修理前に必ずタイヤの内側を触って確認しましょう。
タイヤレバーの扱い:タイヤやチューブを傷つけないよう慎重に作業してください。
ゴム糊の乾燥を待つ:ゴム糊を使う場合は、乾燥してからパッチを貼らないと、接着力が弱まって後にはがれてしまう場合があります。
パッチ修理は慣れれば非常に有効ですが、慣れないうちは再修理になってしまう場合があります。もし、より確実な修理をしたい場合はプロである専門店に依頼するのが最も安心です。
専門店に依頼するケースと比較する(パッチ修理の費用や時間とそのリスク)

パッチ修理をする場合、自分で行うのと専門店に依頼するのとでは、費用や時間だけでなく安心感に違いがでます。自分の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
| 項 目 | 自分で修理する場合 | 専門店に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約500円~3,000円 (パンク修理キット、空気入れなどを揃える費用) | 0円 |
| 修理費用 | パッチ代などの実費のみ(1回あたり数十円程度) | 1,200円~2,200円程度(一か所) |
| 所要時間 | 慣れないうちは40分~1時間以上 | 10分~30分程度 (車種・症状にもよる) |
| 技術レベル | 正しい手順と工具の扱い方を覚えれば対応できるレベル | 専門的な知識と技術 |
| 修理の確実性 | 低い (異物の見落とし、パッチの接着不良などのリスク) | 高い (経験豊かなプロによる的確な確実な修理と点検) |
| その他 | 再パンクの可能性、タイヤやホイールを傷つけてしまうリスク | 少ない (専門の工具と技術で安全・安心) |
● 比較のポイント
- 費用:自分で修理する場合、初期投資(工具代)はかかりますが、長期的に見ると修理 1 回あたりの費用は安くなります。専門店は1回あたりの費用はかかりますが、工具代は不要です。
- リスクと安全性:自分で修理する最大のメリットは費用を抑えられることですが、最大のデメリットは修理が不完全になるリスクです。異物の見落としによる再パンクや、不適切な作業によるタイヤ・チューブの破損は、結果としてより大きな出費につながりかねません。専門店であれば、修理と同時にホイールやタイヤ全体のチェックも行うため、高い安全性が確保できます。
安全な走行を重視するなら、専門店に依頼するのが最も安心です。
パンク修理に関する注意点

安全な自転車ライフのために、パンク修理に関する大切な注意点があります。
1. 専門店へ持ち込み時の運び方にご注意ください
パンクに気づいたら、絶対にそのまま運転したり、車輪を転がしたりしてはいけません。パンクしたタイヤを転がしたり、乗って運転したりすると、チューブ・タイヤの破損だけでなく、ホイールの破損につながり、別途修理交換が必要になるケースがあります。また、タイヤのサイドウォール (側面)が傷み、ホイール(リム)が地面と接触することで歪みが生じる可能性もあります。そうなると、単なるタイヤのパッチ修理ではなく、タイヤ交換やホイール交換といった高額な修理が必要になってしまいます。パンクした自転車は、押さずに担ぐか、台車に乗せるなどして運ぶようにしてください。
2. 複数のパンク修理はチューブ交換も視野に
一か所だけでなく、同じチューブにいくつも穴が開いている場合は、修理跡が増えると、その部分の強度が落ちたり、空気を入れた時のバランスが悪くなったりするためパッチを貼るよりもチューブ自体を交換した方が、のちのトラブルを防げます。
3. パンク修理は「寿命」を延ばすことではない
パッチ修理はあくまで「穴を塞ぐ」処置であり、チューブの寿命が延びるわけではありません。タイヤのひび割れや摩耗が進んでいる場合は、パンク修理をしてもすぐに別の場所から空気が漏れたり、バーストの危険性があります。
まとめ
自転車のパンクは、乗る頻度や走行距離が高いほど遭遇する可能性が高まるトラブルです。自分で修理できれば便利ですが、パッチ修理の限界、チューブ・タイヤの寿命判断など、自分では見落としやすいポイントが多くあります。こうしたリスクを避け、安心・安全な走行を優先するなら、プロである自転車専門店への依頼が最も信頼できる選択肢と言えます。
| 結 論 | 自分で修理する場合 | 専門店に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 軽微な刺さりキズ | 可能(タイヤの傷みが小さい場合) | 的確な点検と安全性の確保を優先する場合 |
| タイヤ劣化・リム打ち | 推奨しない (技術的に自信のある場合は除く) | |
| 単なる空気抜け・虫ゴム劣化 | 可能(日常のメンテナンス) | 迷う場合は相談 |
自分で修理する場合の最大の懸念点は、異物の混入や、他の異常を見逃すことで他の大きな故障や事故につながって しまうことです。
自転車専門店に依頼することで、プロの確かな技術により、異物を徹底的に除去したり、タイヤの摩耗具合やホイールの歪みなど、目に見えない異常まで点検したりすることが可能です。
自転車大型専門店の「ダイワサイクル」では自分で修理が難しいパンクや、より的確な修理対応はもちろん、整備士資格を持つプロスタッフが高度な専門知識と技術力をもって、お客様の自転車の点検修理をいたします。
ダイワサイクルの安心サービス
● 無料の「空気入れ」サービス
パンク予防の第一歩は定期的なタイヤの空気圧チェックです。ダイワサイクルでは無料で空気入れを行っております。空気圧の調整が不安な方は、スタッフが対応いたしますので安心してご利用ください。
● 半年ごとの点検サービスや盗難補償等の手厚い保証「サポートパック」
自転車を安心・安全に乗っていただくためにも定期点検はとても重要です。ダイワサイクルの「サポートパック」にご加入いただくと、半年に1度、一回3,300円相当※(税込/一般自転車の場合)の点検を無料で受けられます。
● 電話一本で駆け付け スピード対応!「出張修理サービス」
万が一パンクしてしまった場合は、ダイワサイクルの「出張修理」サービスが大変便利です。自転車が自走出来ないトラブルの場合、希望する場所(出張可能エリアに限る)にお伺いして、その場で修理を行います。ダイワサイクルで自転車をご購入いただいたお客様は、出張費無料(修理費用別)でご利用いただけます。
他店でご購入された自転車も大歓迎です。ぜひ自転車の修理・メンテナンスやお困りごとはお近くの「ダイワサイクル」へご相談ください。
※他店購入車は出張費有料
関連リンク
FAQ
Q1. 自転車のパンク修理は自分でできますか?
A1. 軽微な刺さりキズでタイヤの傷みが小さい場合は、自分でパッチ修理が可能です。ただし、タイヤ劣化やリム打ちなど複雑なケースでは専門店への依頼を推奨します。
Q2. パンク修理を専門店に依頼した方が良いケースは?
A2. タイヤの劣化、リム打ち(スネークバイト)、複数箇所のパンク、または原因が不明な場合は専門店に依頼するのが安心です。プロによる点検でホイールやタイヤの異常も確認できます。
Q3. パンク修理に必要な道具は何ですか?
A3. パンク修理キット(タイヤレバー、パッチ、紙やすり、ゴムのり)、空気入れ、水を入れたバケツなどが必要です。
Q4. パンク修理の費用はどれくらいかかりますか?
A4. 自分で修理する場合はパッチ代など数十円程度ですが、初期費用として修理キットや空気入れで500円~3,000円程度かかります。専門店に依頼する場合は1,200円~2,200円程度が目安です。
Q5. パンクした自転車を専門店に持ち込む際の注意点は?
A5. パンクした状態で自転車を押したり乗ったりすると、タイヤやホイールが破損する恐れがあります。担ぐか台車などに乗せて運びましょう。